ZED-F9PでRTKをやってみる
以前「RTKをやってみる」という記事(これとこれ)を書いたのが2014年の事でした。あれから5年が経過し、精密測位に使えるGNSS受信機の状況も驚くべき進化をしています。
先日u-bloxのZED-F9PというGNSS受信機を購入しました。

スイッチサイエンスで3万ちょっとで売られていますが、この価格でなんと2周波(L1,L2)対応というものです(U.FLコネクタからのアンテナケーブルは付属していません)。20世紀の2周波対応GPS受信機の価格を知っている当方としては、高級外車が3万円程度で買えるようになったのと同じ衝撃です。
早速実験です。
前に自宅にアンテナを設置してstatic測量を行った際には惨憺たる結果でした。あの時は受信できる衛星がGPSしかありませんでしたが、今回購入した受信機はGPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDouの各衛星が受信できるので、あの時ほど悲惨な結果にはならないとは思うのですが…
以前、気圧の連続観測をやっていることを書きましたが(これとかこれ)、測定された現地気圧を海面気圧に直すためには海面更正という補正が必要です。その為には気圧計の正確な標高が必要です。気象庁が出している「気象観測の手引き」の中では、気圧計の標高は0.1mまで求めておくと書かれています(1mの差で0.1hPa変わる)。最初は地形図の等高線から読み取った値でやっていましたが、これをGNSSの精密測量でなんとかできないかと以前より色々とやっていました。トラ技の2018年1月号に出ていたu-bloxのNEO-M8Pなどを使用してGPS+BeiDouにて何とか自宅でもFix解を得ることができていました。ただ、いかんせんこの上空視界でGPSとBeiDouだけではFixに至るまでが一苦労で、なかなか高いratioの解は得られませんでした。
その時に製作したグランドプレーンとなんちゃって電子基準点

乗っているアンテナはu-bloxのANN-MB-00という2周波対応アンテナです。ベランダ設置なので、上空視界は全天の半分以下です。
RTKなどの相対測位をやる場合には「基準局」が必要です。前に記事を書いた時には国土地理院の電子基準点のデータを使って後処理にて計算していましたが、今は「善意の基準局」なる点のデータをリアルタイムでしかも無償で使用することができるようになりました。運営している方には本当に感謝です。幸運にも私のところから比較的距離が近いかなめ測量さんが2周波のRTCMデータを送信してくれていますので、それを使用することにします。かなめ測量さんに感謝。
さて結果です。計算には高須先生のrtklibのRTKNAVIを使用して、基準局にはrtk2go.comでNtrip serverのKANAME-ANX-RTCM3を使い、計算モードはStatic、データとして使用する電波受信強度は38dB以上、整数値バイアス推定はFix and Holdでやってみました。
ベランダ設置のアンテナでは上空視界が極端に良くないので、上空の衛星配置状況によってFixしたりしなかったりします。良い時には

こんな感じでFixしてくれました。グリッド間隔は2mmです。さすがは2周波+5種衛星受信。

解も安定して求まっているようです。その時の受信状況はこんな感じでした。

(座標値はマスクさせてもらっています)
GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDouをすべて使用しました。色付きのバーはL1の受信電波強度。L2の方は白抜き(L1より低い場合はL1バーの中の白線)です。上の段が当方で受信している状況、下の段は基準局での受信状況です。GPS衛星の受信個数はよろしくありませんが、他の衛星がカバーしてくれたおかげで測位できています。ratioも最高値の999.9までいっています。前にNEO-M8Pで求めた時とほぼ同じ座標値が得られました(差は2cm以内)。
一方、衛星配置が良くない時は全然Fixしてくれません。


これはまだ部分的にFixしているので良い方。
なにはともあれ、自宅の座標値が精密に求められました。気圧・気温の観測データファイルではこれまでは気圧計標高が未確定だったため毎分の計測時に海面更正値は求めていなかったのですが、今回かなり正確な標高が求まったので気圧測定時に同時に海面校正値も求めてファイルに記録するように変更しました。因みにこの測量で得られる高さは楕円体高なので、ジオイド高を引き算して標高を求めています。
基準局データの配信で、ソフトバンクやドコモなどが参入するというニュースも聞きました。センチメートルオーダー精度の位置測定がいつでもどこでも可能になる日も近そうです。
先日u-bloxのZED-F9PというGNSS受信機を購入しました。

スイッチサイエンスで3万ちょっとで売られていますが、この価格でなんと2周波(L1,L2)対応というものです(U.FLコネクタからのアンテナケーブルは付属していません)。20世紀の2周波対応GPS受信機の価格を知っている当方としては、高級外車が3万円程度で買えるようになったのと同じ衝撃です。
早速実験です。
前に自宅にアンテナを設置してstatic測量を行った際には惨憺たる結果でした。あの時は受信できる衛星がGPSしかありませんでしたが、今回購入した受信機はGPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDouの各衛星が受信できるので、あの時ほど悲惨な結果にはならないとは思うのですが…
以前、気圧の連続観測をやっていることを書きましたが(これとかこれ)、測定された現地気圧を海面気圧に直すためには海面更正という補正が必要です。その為には気圧計の正確な標高が必要です。気象庁が出している「気象観測の手引き」の中では、気圧計の標高は0.1mまで求めておくと書かれています(1mの差で0.1hPa変わる)。最初は地形図の等高線から読み取った値でやっていましたが、これをGNSSの精密測量でなんとかできないかと以前より色々とやっていました。トラ技の2018年1月号に出ていたu-bloxのNEO-M8Pなどを使用してGPS+BeiDouにて何とか自宅でもFix解を得ることができていました。ただ、いかんせんこの上空視界でGPSとBeiDouだけではFixに至るまでが一苦労で、なかなか高いratioの解は得られませんでした。
その時に製作したグランドプレーンとなんちゃって電子基準点

乗っているアンテナはu-bloxのANN-MB-00という2周波対応アンテナです。ベランダ設置なので、上空視界は全天の半分以下です。
RTKなどの相対測位をやる場合には「基準局」が必要です。前に記事を書いた時には国土地理院の電子基準点のデータを使って後処理にて計算していましたが、今は「善意の基準局」なる点のデータをリアルタイムでしかも無償で使用することができるようになりました。運営している方には本当に感謝です。幸運にも私のところから比較的距離が近いかなめ測量さんが2周波のRTCMデータを送信してくれていますので、それを使用することにします。かなめ測量さんに感謝。
さて結果です。計算には高須先生のrtklibのRTKNAVIを使用して、基準局にはrtk2go.comでNtrip serverのKANAME-ANX-RTCM3を使い、計算モードはStatic、データとして使用する電波受信強度は38dB以上、整数値バイアス推定はFix and Holdでやってみました。
ベランダ設置のアンテナでは上空視界が極端に良くないので、上空の衛星配置状況によってFixしたりしなかったりします。良い時には

こんな感じでFixしてくれました。グリッド間隔は2mmです。さすがは2周波+5種衛星受信。

解も安定して求まっているようです。その時の受信状況はこんな感じでした。

(座標値はマスクさせてもらっています)
GPS, GLONASS, Galileo, QZSS, BeiDouをすべて使用しました。色付きのバーはL1の受信電波強度。L2の方は白抜き(L1より低い場合はL1バーの中の白線)です。上の段が当方で受信している状況、下の段は基準局での受信状況です。GPS衛星の受信個数はよろしくありませんが、他の衛星がカバーしてくれたおかげで測位できています。ratioも最高値の999.9までいっています。前にNEO-M8Pで求めた時とほぼ同じ座標値が得られました(差は2cm以内)。
一方、衛星配置が良くない時は全然Fixしてくれません。


これはまだ部分的にFixしているので良い方。
なにはともあれ、自宅の座標値が精密に求められました。気圧・気温の観測データファイルではこれまでは気圧計標高が未確定だったため毎分の計測時に海面更正値は求めていなかったのですが、今回かなり正確な標高が求まったので気圧測定時に同時に海面校正値も求めてファイルに記録するように変更しました。因みにこの測量で得られる高さは楕円体高なので、ジオイド高を引き算して標高を求めています。
基準局データの配信で、ソフトバンクやドコモなどが参入するというニュースも聞きました。センチメートルオーダー精度の位置測定がいつでもどこでも可能になる日も近そうです。
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