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ツタンカーメンと伝説の王妃

先日(18日)にTBSで表記の番組をやっていたので見てしまいました。
見ていて一言書きたくなってきたのでこれを書いています。

番組で言っていたのは、ツタンカーメンの黄金のマスクは元々ネフェルティティの為に作られたものを流用したものである、という事です。その証拠として示されたのは、黄金のマスクに描かれているツタンカーメンの王名を示すカルトゥーシュの部分が、元々描いてあった名前を削ってその上に描かれているというもの。

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それがこれだそうです。緑の線が現在のツタンカーメンの名前を示す部分で、赤い線が元々書いてあったものの消し残り。黄色の線は「多分こうじゃないかな?」という推測の部分です。これはエジプト考古学者のニコラス・リーヴス氏が発表したものです。「おいおい推測の部分ばっかりじゃんかよ」と思う人は目の付け所が良いです。テレビが言う事だからと鵜呑みにするとひどい目にあいますからね。しかしこれには一応根拠があります。

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これはツタンカーメンの王墓の発見者、ハワード・カーターのリポートにある、ツタンカーメンの墳墓に納められていた木箱に描かれているカルトゥーシュの一覧です。ここで重要なのが
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この部分です。さっきのリーヴス氏の推測と同じものです。私は恐らく彼の推測は間違っていないのではないかと思います。番組ではこれを「ネフェル・ネフェルウ・アテンと書いてある」と説明していましたが、どこにもそんなことは書いていません。エジプト考古学者はここに書いてあるヒエログリフを「Ankhkheperure Mery-Neferkheperre」などと書き表します。なんだかわかりませんよね。「アンク・ケペルゥ・ラー メリィ・ネフェル・ケペル・ラー」なんて発音します(ラーはレーとも発音する)。ここで大事なのは「アンク・ケぺルゥ・ラー」のところで、これが木箱の主の名前です。ネブ・ケペルゥ・ラー(ツタンカーメン)とは書いていないんですね。

でもって、番組ではこのアンク・ケぺルゥ・ラーをツタンカーメンの前王と言われるスメンクカーラーであると断定していました。更にはスメンクカーラーはアクエンアテン(アケナテン)の妃であるネフェルティティであるとも断定していました。おいおいちょっと待ってくれ、それはリーヴス氏の言っている説だけど学会のコンセンサスは得られていないだろう・・・。

エジプトのファラオは同時にいくつもの名前を持っていますが、確かにスメンクカーラーもアンク・ケぺルゥ・ラーと名乗っていることは確かです。ただ、スメンクカーラーは謎の多いファラオで、メリィ・ネフェル・ケペル・ラーというエピセット(形容辞)を付けている例は無いようです。そこで出てくるのが先ほどTBSの解説で出て来た「ネフェル・ネフェルウ・アテン」です。木箱の王名の中にも登場しています。
C001nna.jpg
なので、TBSで言っていたのもあながち嘘ではないのですが、ちゃんと説明しなきゃダメでしょ。

つまり、ツタンカーメンの黄金のマスクに書かれていたであろう「アンク・ケペルゥ・ラー」とは「ネフェル・ネフェルウ・アテン」と考えて恐らく間違いではないような気はします。ネフェル・ネフェルウ・アテンは他の出土品に書かれていたエピセットから女性であることが判明しています。スメンクカーラーは男であると考えられていますし、ネフェル・ネフェルウ・アテン=ネフェルティティというのも一部の学者が唱えている学説に過ぎません。他の説として、ネフェル・ネフェルウ・アテン=メリト・アテン(スメンクカーラーの妃)と言う説があります。先ほどの王名リストに登場する
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このカルトゥーシュに囲まれた名前がそうです。ネフェル・ネフェルウ・アテンという名前はネフェルティティも使っていましたのでリーヴス氏はネフェル・ネフェルウ・アテン=ネフェルティティと考えたのでしょうけど、このメリト・アテンの部分はどう説明されているんでしょうかね?

再現ドラマの方もクッサイ演技で失笑もの。壁の奥に空洞がありそうだという調査結果のところだけが面白かっただけでした。奥に行けたらどんな世界が姿を現すのでしょうか。リーヴス氏の言うようにネフェルティティの埋葬品が出て来た日には潔くケチを付けたことを謝罪します。
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夜行虫とは天体撮影等、夜に出歩くのが多いことから名づけました。夜光虫の誤変換ではありません。海に潜ったり温泉浸かったりも趣味です。

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